桜散る

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その日のうちから早速練習は行われた。西条くんは経験者だったようで、1人道場の中で先輩方との練習に混ざっていた。 残りの1年生は弓を引く上で基礎となる射法八節という動作を学ぶこととなった。 「まずは八つの動作を覚えることから始めようか。」 3年の男子の里田部長が主に指導をしてくれるようで、動作のお手本を一通り簡単に見せてくれた。 両手を腰辺りに当て、足を左右に開く「足踏み」。 実際では弓を持っている左手を弓が正面に来るようにするよう前に出す「胴造り」。左手は弓を持つように握りこむ。弓を引く時にはこの動作の時に右手で弓に矢を取り付けて、また腰に当てる。 前に出した左手と同じ高さに腰に当てていた右手を出す。実際にやる時には右手にはゆがけ(通称かけ)という鹿革製の手袋を着けていて、矢が取り付けられた所にかけを弦に取り掛ける「弓構え」。 顔を体正面から左側にむけ目線を移し、両腕を丸太を抱えるようにした状態でそのまま顔の上あたりまで上げる「打起こし」。 そこから握ったまま左手を視線の先にスライドさせるように右手を軸にして、押し広げるように移動させる。この時の右手は手の甲を上に向くようにする。左手の手の向きは打起こしの時点では、自分の側に握る指が見えていた状態が、弓内で手首を回転させて外側に見えるようにする。「引き分け」 両腕を均等に顔の辺りから自身の口元辺りまで押し広げながらゆっくり下げる。実際はここで弓を引ききった状態となっており、的に向かって矢を放つ準備が整えられた。「会」 そのまま弓を引く力の延長線に沿うように右手は軌道を描いて弦から手が離れる。「離れ」。左手は的に矢を押し込むようにする。両腕が肩の横に真っ直ぐ伸びるような形となった。 しばらくそのままの姿勢をとる「残心」。 その後両腕をしずかに腰辺りに当てた。(弓倒し) 「うん、ざっとこんなもんかな。弓とか矢が無いから動作の意味がよく分からないかも知れないけど、早速やっていこう!」
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