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里田部長はそう言い、1年生2人に対して先輩が1人つき細かく教えてくれることとなった。横須賀達の所には女子の先輩がつき、よろしく、と簡単に自己紹介をされた。
先輩には言いそびれてしまったが、実は横須賀は射法八節の動作は出来る。弓も何も持たない状態で射法八節の動作をすることを、通称徒手練習というのだが、横須賀にはもう一つ上の段階のゴム弓練習までの経験があった。
言うタイミングがなくとりあえずペアになった同級生の堀田と一緒に徒手練習を始めた。ところが、
「えっ、2人とももう出来てる!?ど、どうなってるの?!」
教えてもいないのに既に2人は出来ているので、先輩が驚き思わず他の1年生の様子を見る。
周りの1年生はまず動作の名前を覚えることから苦戦中だ。
「あなたたちも、経験者だったの?」
もしかして、と先輩が質問した。横須賀は「ゴム弓までですけど」と返事をし、堀田も偶然にも「僕もゴム弓まではやったことがあります」と返事をした。
お互いがまさか半経験者だったとは思ってもみなく、思わず顔を見合わせた。
「え?」
ピッタリのタイミングで横須賀と堀田は言葉が出た。
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