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「西条くん。初めの頃にさ、俺と話してると目立つから嫌だって言ったの覚えてる?」
「ああ、そんな事言ったかもな」
「あれってどういう意味だったの?」
「お前ってさ、クラスの中では中心的な方だろ。だからみんなちらちらこっち見てきて嫌だったんだよ。あと声がデカくて余計に目立つ」
「ふふ、私と飯塚の言ってたことが当たったわね。」
間宮がおかしそうに笑った。
先日の帰り道でのやりとりから西条は横須賀に対して態度が少し変化した。横須賀のことを完全に信頼している訳ではないが、前と比べると打ち解けたと思う。そして、飯塚や間宮とも会話をするようにもなった。
何が彼の心を開かせたのかはよく分からないが結果オーライだと横須賀は前向きにとらえた。
簡単な雑談をしていたらあっという間に休み時間は無くなり、4時限目のチャイムが鳴った。
社会の地理の教師、霧島が教室に入り、授業が始まる。
霧島は学校の制服を着て生徒の中に紛れたら先生だと思えない位の見た目の先生だ。ルックスも良く、年も24歳と若いため、生徒からはイケメン教師と認識されている。
本人はそのことを知っているのかいないのかは分からないが、授業する時の格好も現代的で一層生徒から人気の声が上がっている。
今日の服装は灰色のシャツに真っ黒のネクタイ、その上に白衣を羽織るという着こなしに、白衣のポケットにとちまるくんのボールペンをさすというワンポイント付きだ。
「はぁ。今日もあの先生かっこいい」
間宮もお気に入りの先生だ。
担任の金田といい地理の霧島といい何とも若い先生が多い学校である。
横須賀自身、地理が好きな教科であったため集中して臨めた。
しばらく授業を受けていると、隣でカタン、とペンが机に落ちる音がした。
音に反応して西条の方を見れば、シャーペンが彼の右手から離れ落ち、うとうとと寝始めている姿があった。
(ええええ、初の地理の授業で寝ちゃうのー!?)
西条が授業中に寝るようなキャラだと思わなくてしばらく驚き続けてしまった。
起こすべきか悩んだが、無理に起こすのも良くないと感じてそのままにした。
その後時間はあっという間に過ぎ、気づけば終了を告げるチャイムが鳴っていた。
ーーー
「西条。ちょっといいかー」
霧島に呼び起こされ、目を覚ました西条は職員室へと連行された。
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