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そして放課後。横須賀と堀田はこの前通りゴム弓を引いていた。 「横須賀はどうしても引分けから会で肩の線がズレるな」 「なかなか直せないんですよね…」 部長に射形を見てもらっていたのだが、横須賀は毎回同じところを直されていた。意識してゴム弓を引いても、前からその癖がついていたようで教わってはまた戻ってしまう、という繰り返しだった。 しゅん、と肩を落としていると部長は大丈夫と背中をバンバン叩いた。 「何回もやってれば出来るようになるから!」 (部長がそう言ってくれるなら、何とかなるかな) ふぅ、と一息つき気持ちを切り替える。部長が道場に戻った後、堀田にも見てもらいながら練習を再開した。 「うーん…」 「微妙?」 「押さえれば大丈夫だけど1人で引くとバラバラになっちゃうなぁ」 「えー」 身体が中々正しい動きを覚えてくれないことに横須賀は自分自身に苛だつ。 「俺、弓道向いてないのかなぁ」 「はぁ?始めたばっかりで何言ってんだ。」 独り言で呟いた言葉に返事が返ってきた。堀田かと思ったが、それにしては大分声が低い。声のした後ろを振り返れば、いつの間にいたのか社会科の霧島が立っていた。 「ゴム弓で大事なのは正しい力で正しい動作が出来るかだ。何回やっても上手くいかないのは、お前自身正しい力の使い方を理解できてないからなんじゃないか」 確かに霧島の言う通りかもしれない。正直横須賀は自分でゴム弓を引いていてどこの動作がきちんと出来ていて、どこの動作をどう直すべきか分からないでいた。だから言葉や補助をしてもらってもしっくり来なかったのだろう。
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