第1章 青嵐高校

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栃木県立青嵐高校。県内の上の方にあり、偏差値は中くらいで、部活動でもそこそこの結果ばかりという特に特徴のない高校だ。唯一の特徴といえば、校庭が無駄に広いことだろう。ただそれだけである。 だが、それでも倍率は他校よりも高く毎年20人以上が落ちる。田舎ではかなりの数だ。 その高い倍率の中、無事合格することができた横須賀 朝日 は青嵐高校1年生として入学式を迎えることとなった。 横須賀はつい1ヶ月前まではまだ中学生だった訳でまだ少し幼さのある容貌ではあるが、キリッとした顔立ちで幼くはみられない。目までかかることのない長さの前髪には艶やかさがあり、後ろ髪も短く爽やかな印象を与える。 中学時代はサッカー部に所属していて、MFとしてチームに貢献してきた。仲間からの大きな信頼があり、逆にそれが原因でいざこざが起きてしまうこともあったが、今となってはいい思い出だ。 実力があったためサッカーの県代表にも選ばれたり、サッカーの強豪校からの推薦もたくさんきた。しかし横須賀は全部それを断り、一般受験で青嵐高校へと入学した。 入学式が終わり、新しいクラス、担任となったのは男教師の金田という名前の灰色のスーツを着た先生だった。教師としては若めの30代くらいで、見た目からしていかにも女子ウケしそうなタイプである。 「流石に最初はみんな知らない人ばかりで緊張すると思うけど、ここは一発席替えをしてみようと思うから」 いきなりの席替え発言に動揺、衝撃を受ける生徒が大半の中で、金田は何食わぬ顔で席替えの準備をし始めた。 (うわー…まだ隣の人もよく知らないのに席替えって) 何だよここは一発って、と思いながらも前から回ってきた紙に書いてあるあみだくじの線の上に自分の名前をかいた。
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