Despise

プロローグ

「今日で卒業かぁ。なんか実感湧かないよな」

そう言って、彼は桜の蕾を見上げながら小さく笑う。

だけど私はそんな彼の横顔を見つめながら、泣きたい衝動と必死に戦っていた。

付き合い始めて2年。

東京の大学に進学する彼と、仙台の専門学校に進学する私に明日の約束なんて全くない。

お互いがそれぞれの人生を後悔しないように選択した結果だけど、寂しくないと言えば嘘だった。