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さっきまで僕の身体を熱く翻弄していたタカさんは、漸く満足したのか今は緩く僕の身体を抱きしめてウトウトとし始めている。
「ホワイトデーに渡すお返しは僕が選んでもいい?」
ん? とタカさんはボヤけた返事をして、
「別にいいけれど……、何故だ?」
「だって、実際に僕が食べてしまうんだし、早紀子さんは若い男の子へのお返しなんて選ぶの面倒でしょ? 同性なんだから、僕が選ぶ品の方がいいかなって」
そうか、とタカさんは嬉しそうに鼻を寄せて、
「じゃあ、今度、二人で買いに行くか」
「いや……。二人でデートは嬉しいんだけれど、僕一人で行ってくるよ。ちゃんと部長の名に恥じないような品を選んでくるから安心して」
うん、と小さく返事をしたタカさんは僕を腕の中に収めてゆっくりと眠りにつく。
まったく、いつもタカさんには思いやられるな。
だけど、こんなタカさんだから、僕は大好きなんだ。
彼等若者には可哀想だけれど、大人の付き合いに入って来ないように弁えてもらわないと。
さあ、これからが決戦だ――。
タカさんの吐息から、まだ香ってくるような苦くて甘いショコラに包まれて、僕も温かな腕の中で眠りに落ちていった……。
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