で。つまり、結局は。

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「それでよく、離婚しようとか思わなかったよね」  就職後に家を出た長女を交え、久しぶりに家族揃った居間での会話。  そんなシーンで、この憎まれ口。かつての、カワイイ幼児な雰囲気は欠片も残っていない。  しかし彼はメゲない。 「お母さんは、お父さんのこと大好きだもんねぇ?」 「あはは」 「お母さん、そこは肯定してあげなよ」  大学に通い始めてからは寝に帰ってくるだけになってしまった次女も、今日は団らんに加わっている。  ただいつものしれっとした辛口風味はそのままで、フォローがフォローになってない。 「お母さん、照れ屋さんなんだよねぇ?」 「お父さんは無駄に前向きだよね」  次女らしい、間髪入れないツッコミ。 「お父さんも、お母さんで良かったの?」 「そーだよねぇ。部屋汚いしね」  楽しく言い始めた姉妹に、えへへと苦笑いする彼女。  そんな彼女に、彼も笑顔を崩さない。 「住むには十分快適だよぉ。それに、お母さんのご飯、美味しいし!」 「えー、言うほどのものかなぁ」 「お母さん、可愛いし!」 「えぇぇえっ」 「痒いわー」  そんな会話をして解散した直後。まだ娘達がリビングのドア付近にいるのに、 「俺から離れられないのは、体の事情だよねぇ?」 「えっ、ちょっ、違うからっ」 「そんな照れなくてもぉ。かーわいーっ」 「何その自信」  こそこそとそんなことを言って笑い合っている彼らは、大変うまくいっているようだった。  娘の目から見ても。  いや、さすがに現場を見てはないけれど。 終
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