コウスケ

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バブル全盛期、今思えば個人情報なんか気にしない時代だった。 席こそ隣のテーブルに移動したものの、ユリコが受ける面接内容は俺に丸聞こえ。 まるっきり一目惚れ状態の俺は、耳がパラボラアンテナのようにユリコをロックオン。 ユリコには両親がいなかった。 北海道出身で、俺と同い年の15歳。 日本列島を、北から仙台、東京、名古屋へと、寮付きの水商売を転々と南下していた。 親がいないから、自分の居場所がないんかなぁ? 落ち着く場所を探しているんかなぁ? 俺も親戚の家をたらい回しにされていたから似た者同士だ。気持ちは分かる。 色白で、ツヤツヤと滑らかな黒髪と、守ってあげたくなる様な華奢(きゃしゃ)な体型に上品な目鼻立ち。 惚れたね! 店長、ユリコの面接、合格にしてくれ!
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