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成長著しく、高学年の小学4年ともなると、男子より早熟な女子の方が幅を効かせてきだす。
オシャレにも敏感になり、心はまだ未熟かと思いきや、大人の予想を上回るエゲツなさも見え隠れする。
この日の放課後、普段からユリアを生意気だと言い徒党を組んだ5人の女子が集結し、何も知らないユリアの前に立ちはだかった。
5人という多勢と、前もって用意した暴言内容を武器に、ユリアを集中攻撃した。
1人の女子が先陣を切る。
「ユリア、あんた貧乏過ぎて家で着る服が無いから学校の体操服を家で着てるんだって! 恥ずかしくないの?」
クラス全員が ド! っと笑う。
「そんなの、なんてことないわ」
仲間の女子も参戦する。
「それにアンタ筆箱買えないの? アンタの筆箱、捨てる様な布切れで作った手作りでしょ。自分で作ったの?」
「そうよ」
「あー恥ずかしい! どんだけ貧乏人! 筆箱くらい買え買え買えー!」
「あたしは手作りでいいもん」
「ふん! アタシの高い筆箱、近所のドブに捨てておくから、アンタ拾ったついでにドブさらいしておいて! ドブさらいで筆箱ゲット。ユリアにお似合いよ!」
再びクラス皆んなが笑った。
「あたしは物作りが好きだから、遠慮しておくわ」
くじけないユリアに別の女子が言う。
「アンタいつも学校にボロい服着て来るけどさー、拾ってんの? ダサ過ぎて見てるこっちが恥ずかしいんですけどー!」
更に別の女子がたたみこむが、これがいけなかった。
ここまでの内容ならユリア本人へのイジメだが、こと父親である俺に矛先が向くと、ユリアの反応は一変する。
「アンタのオヤジ、近所の道路で穴掘りの工事してるでしょ! 道を通る度に見てるけど、いつも泥だらけで汚いんですけど! アレなんとかなんないの? 汗臭さが環境汚染だわ!」
クラス全員が爆笑の渦。
残りの女の子が続く。
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