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頭に血が上ったユリアは、もはや誰にも止められない。
ユリアは5人の女子だけでなく、クラス全員に向かって叫んだ。
「アタシは貧乏! 片親! だけどそれだけで人の価値を決めるな!
アタシはアンタ達より運動も勉強も出来る!
1人で御飯だって作れるし、掃除や洗濯だって出来るし内職だって出来るんだ!
金持ちが金がある事を自慢したらどう思う?
傲慢(ごうまん)っていうんだよ!
最初から無かったら得るものは有っても失うものは何も無い!
日本は資源の少ない国!
その資源の少ない日本が経済大国なのはモノを創ってきたからよ!
アタシにモノ創りを教えてくれたのは お父ちゃん!
アタシはアイデアと物作りで勝負する!
アイデアを産むのにお金なんか1円も要らない!
無限の価値を産むアイデアを教えてくれたのはお父ちゃん!
金持ちは何も考えず直ぐに完成品を手に入れるけど、前向きな貧乏人は無いからこそ創造力が養われ、工夫を凝らすし努力もする!
モノの有り難みが分かるのは金持ちよりも貧乏人よ!
お父ちゃんは人のしてくれた親切心に感謝し心を汲む。
金持ちが金だけで即決する姿よりも、なけなしの心遣いに有り難みを感じるんだ!
お金じゃ買えない人の心を教えてくれたのはお父ちゃんよ!
片親しか居なくて何が悪い!
朝も昼も夜さえも働いて働いて睡眠時間を削りに削ってアタシ第一で育ててくれたお父ちゃんの悪口を言うな!!
アタシの服がボロいのは人のお下がりだからよ!
物を大切にして何が悪い!?
アタシにはみんな揃っている!
目もある!
耳もある!
口もある!
手足もある!
生きていく上で欠けたものは何も無い!
お父ちゃんがくれたこの体!
この心!
その愛情に誇りを持っているんだ!
アタシは力いっぱい!
生きる!
アタシは断言する!
お父ちゃんの子で!
本当に良かった!!」
◆
この後も続く全力を搾り切ったユリアの言葉に、反論する者は1人もいなかった。
5人がかりで示し合わせた女子のイジメは全く効果が無いどころか、逆に泣かされてしまう。
ユリアの反逆を聞いた生徒のほとんどは感情的に泣いてしまい、担任の真由美先生までも、ほとばしる涙を堪えることは出来なかった。
この日を最後にユリアだけではなく、イジメは無くなった。
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