143人が本棚に入れています
本棚に追加
先輩たちの説明により、俺がネズミを殺す。
先ず厨房の下水の直ぐ上の床に業務用の大きなゴミ箱を置き、水道のホースから八分目まで水を入れ、同時に殺菌するため漂白剤を注ぎ込む。
そこに暴れまくっているネズミ捕りを沈める。
金属製の篭は当然ゴミ箱の底に沈む。
当たり前な話、篭の中のネズミは呼吸が出来ないからもがく。
このもがいているネズミが凄まじくグロテスクなんだ。呼吸をする為に全身をうねらし泳ぐんだ。
うねって うねって うねる!
でも呼吸なんか出来ない。
全生命力を最後の最後まで振り絞る1生命。
絶対に死ぬ状態にした上での屠殺。
人間と同じ哺乳類が、もがき、苦しみ、足掻いている状態を凝視していると、現代社会のぬるま湯でのうのうと生きている自分が、日本人が、人間が、いかに恵まれた環境で生きているのかを思い知らされている様だ。
4分くらい頑張ったネズミは、最後の声なき断末魔を俺の目に焼き付け、指の細かな痙攣を最後に、絶命した。
と、これで終わりか。と思ったら、まだある。
最初のコメントを投稿しよう!