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先輩が教えてくれたのは、名古屋市内の中心部にあるスナックのチェーン店。
バブル全盛期だったから、水商売はどの店も人手不足だったんだ。
先輩いわく、俺の働くネジ製造会社の手取り10万円の1.5倍の15万円。
当時俺の15歳という年齢からすると、手取り15万円はなかなかのものだった。
人員不足だから、先輩の紹介も必要なく、電話1本で面接をするんだけど、面接の日時は俺が決めれて、履歴書すら必要としない、というか持って行かなかった。
履歴書どころか服装もジーパンにTシャツで、持ち物も無しでOK。
手ぶらで面接場所のレストランに行くと、面接をする店長に、「何か食べる?」と訊かれ、「サーロインステーキ」を注文した。
食事をしながら世間話をし、その世間話の段階で、店長は既に我が店にウエルカムな旨を仄めかしてくる。
うちの店では寮が無料で借りられるし、チェーン店の24時間営業の喫茶店では、スナックの開店前と閉店後に飯が付くとのこと。
なんだよオイ! スナック最高!
ところが、履歴書すら持ってこなかったから、何かあった時の為にメモ用紙に、名前と年齢、住所と実家の電話番号を書かされた。
このメモを見て、店長の表情が曇った。
川谷康介(かわたに こうすけ)15歳。
ん、15歳?
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