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確信して伸ばしたマキの右腕は、下から湧き上がるようにして突き上がった大木ほどの氷柱によって遮られた。問題はそれだけでない、さらにとマキの腕が侵食されるように氷が覆う。
「きゃっ!?」
ばちんっ。
火花を散らして氷を引き剥がした。
マキのスピードも完璧ではない。いくらスピードがあろうとも、それを使役するのは人間である。どうしても発動前と発動後にラグができてしまうのだ。手加減しているのなら尚更。
「帯電ですか、厄介ですね」
電気で氷を引き剥がしたその様子を氷柱の上から覗き見ていた美結。
本体が凍りにくいとなると、闘い方を変えなければならない。彼女にとって面倒な敵である。
「…いえ、力でゴリ押します」
敵意は軽い殺意へと変わる。
(ある程度なら耐えれるでしょう。熱出せるようですし)
ならばと、人間へ向ける手加減を超えた冷気を放った。
「凍てつけ、『絶対零度(クールダウン)』!」
その瞬間、彼女は氷の世界の時を止めた。
先程まで柔な冷却ではない。
文字通り全てが凍りつき、例外なく全ての生命が息の根を止める。そんな死の世界。
しかし、マキはまだ止まってない。
「遅いよ、美結っ!」
迫り来る白い死神の手から抜け、その圧倒的な速度で宙を駆ける。
「『韋駄天の刃(ライトニング)』!行っけぇ!」
「させませんっ!」
瞬時にして氷の絶壁を作り上げる。否、壁というよりも氷結した大陸の氷河の様。
「はぁぁぁあああっ!」
放電し、回転を加えながら弾丸のごとく飛び出したっ!
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