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美結は、まだショックから立ち直れていなかった。
自分の力には自信があった。幼少の頃に目醒め、練習と特訓を重ね、やがてコントロールも完璧にこなせるようになったこの能力。
あの壁は本気で止めるつもりで作った。自分が作り出せる全力の強度の氷と、途中で圧縮させる形で空気の層を設け、クッション代わりに使うことで完璧にマキの突進を止めるつもりだった。
しかし、結果は散々たるものだった。
空気が弾けたお陰で彼女の攻撃を逸らすことは出来たが、それはあくまで保険として考えていたものだ。認めたくないが、渦巻マキという少女は間違いなく自分と同等、もしかしたら自分よりも強い。
「…負け惜しみみたいなことしてしまいましたね」
今頃彼女は教師に怒られている頃だろう。きっと、自分も後からそれ相応の措置が取られるだろうが。
「進学早々、子供っぽいことを…。私もまだまだですね」
そんなことを呟きながら、美結は帰路へとつくのだった。
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