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最早、これは起こるべくして起こったと言っても過言ではないだろう。ここ数週間を観察していれば誰にだって想像出来る結果だ。
美結の前に立ち憚る数十人の生徒。その目は皆一様に怒気を放っている。一触即発。そんな状況だった。
「…席に戻ってください」
「やなこったぁ!」
「誰があんたなんかの言うことなんか聞くかよ!」
男女両方が入り交じり、逆廻美結の前に対峙した。
クラス役員を決定する時間のことである。まず初めに委員長である美結から注意の言葉があったのだが、それを聞いていた生徒の一人が楯突いたのだ。それに合わせて他の連中も不満をぶちまけ始め、やがてこういう状態にまで発展した。
美結はやり過ぎたのだ。
クラスの大半が怒り散らすほどに。
先生は先生で、不測の事態にあたふたと慌てるだけで何の役にもたっていない。
「はぁ…」
緊迫した状況の中、美結は呆れたとため息をついた。
「揃いも揃ってお子様の集団ですか?皆でやれば怖くありませんか?間違いを指摘されて逆ギレって、高校生として恥ずかしくないんですか?」
相も変わらず勢いの抑えを知らない舌技が引き金だった。全員が怒声罵声を浴びせ、彼らの限界は頂点に達する。
「ま、まま、待ちなさい!」
ここでようやく教師が介入の意を見せた。
「君たち、落ち着いて!」
二極の間に割って入った。
「逆廻も、とりあえずここは謝っておいてくれ」
「なんで私が謝るのですか、理解できませんよ」
「逆廻も少しやり過ぎだっ、委員長を任されて張り切るのはいいが、刺々しくし過ぎてもクラスはまとまらないぞ」
「私は間違っていることを間違っていると言った迄です。私の何が間違いだと言うのですか?」
このとき、美結の表情もひどく険しくなっていた。教師までもがそんなぬるい事を言うのかと。失望を隠し切れない。
「てめぇの態度が気に食わないんだよ!」
「そう、いちいちウザイんだよ!ポリ公か何かかよ!」
教師の後ろからまだ収まらない暴徒達が口々に声を荒らげる。
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