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そして、その幻想は入学式直前にてあっさりと崩壊した。
「あっ」
「あっ(--;)」
出会い頭に2人揃ってそんな声を上げた。
「君ってさっきの?」
サイドテールの女の子は少し嬉しそうになって歩み寄った。
「同じクラスだったんだね」
「…この際、初対面ってことにしませんか?」
「なんで!?」
「いや、なんというか…」
完全に嫌い意識が入っているためか、なんだか話しにくい。突然のリセット宣言に向こうも目を丸くして驚いている。
「えっと、とりあえず私は渦巻まきって言うんだけど、よろしくね」
「えっ、あ、はい…ってこれ自己紹介しないといけない流れですか?」
首をかしげる美結。
「えっ、しないの?」
「しなくていいのならなるべくしたくないです」
「えぇっ!?なんで?!」
「それに何なんですか、『渦・マキマキ』って?芸名ですか?『渦☆マキマキ』なんですか?」
「違うよっ!『渦巻、まき』なんだよ!」
「それじゃあ『渦巻、まき』さん?」
「いや別にその一拍まで名前じゃないから!」
なんて一連のコントを済ませた後、お互いにお互いの顔を見合った。
((なんか変な人と知り合っちゃった…))
「それで、結局なんて名前なの…?」
「逆廻、美結です…」
少し俯き加減でそう答える。面倒だなとため息でもつきたい美結に対して、この人、マキの方は照れてるのかな?なんて能天気である。
「じゃあ、よろしく美結!」
「嫌です」
「ふぇ!?」
「いきなり呼び捨てってデリカシー無さ過ぎですよ」
「い、いいじゃない。仲良くしようよ」
「丁重にお断りします」
「ひどいっ!」
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