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俺氏、魔界の扉を開く。
「とりあえずー、人間界だと仮契約しか出来ないから魔界行こっかー。」
魔王はポテチを食べながら話した。
「えっと…ま、魔界?そんなとこ…あるんすか…?」
もう苦笑いしか出来ない。
こいつが本当に魔王なら魔界があり、そこには魔獣やら魔生物がいるのだろう。実に恐ろしい…と言いたいところだが、現時点だと馬鹿馬鹿しい話だ。
…と考えてるのも全部お見通しなんだろう。
「…あれ?おっかしいなぁ…壊れたかな?」
魔王が何か悩んでいる様子だった。
「あ、そうそう言ってなかったね。さっきからずっと魔王って呼んでるけどこれからはベルって呼んでよ、ほら、ベルゼブブのベル。」
ベルゼブブ…それだけ聞くといかにも魔王らしい名前だがこの容姿、さらにはベルゼブブを「ベル」と略すところ、100人中99人は確実に驚く、又は失望するだろう。
残りの1人がいたとするならそれは相当な変人だろう。
「んで、何が壊れたのベルさん。」
俺が直せる訳無いが一応困っている人(魔王)がいたら見過ごすわけにはいかないので聞いてみた。
「いやー…ちょっとね…デモンズゲートの鍵の反応が悪くてさ…。」
と言って古ぼけた鍵…ではなくなにかメダルの様な物とまるい穴が空いた石版を渡してきた。
「これが鍵…?だったら…普通にこれを入れるだけじゃねぇの?」
俺が石版を床に置いてメダルをはめ込んだ。
その瞬間…
『ガコン…』
「あれ?…開いた…。凄いね綾月。あ、これからは綾月って呼ばせてもらうよ。」
「なあ…開いたこととか名前とかはどうでもいいけどさ…落ちるぞこれ…。」
石版を床に置いたからだろうか、床が扉になり開いていった。
(…死ぬよな!?これ確実に死ぬよな!?)
冷や汗が凄い。この瞬間に10年分位の冷や汗をかいたんじゃないかと思う位冷や汗が出た。
そして遂に…落ちた。
「うわぁぁぁ!!死ぬ!死ぬって!これ絶対ダメなヤツだって!」
そんな半泣き状態の俺にベルゼブブ…ベルは
「ようこそ!ここが魔界だよ!」
といつもの声で言った。
(もう…助からなくていいや…)
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