僕には見える

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「どこか痛い?立てる?」 そう気遣いながら女の子の手を取り軽く引っ張ってみる。 その力に乗るように女の子はスッと立ち上がる。 見たところ、怪我はしてないようだけど・・・。 「・・・怪我してない?」 「・・・私が、見えるの?」 俺の質問に対し、答えになっていないどころか別の質問を投げてくる女の子。 ・・・何が・・・? 「・・・見える?」 首を傾げつつ、さらに質問を返してみる。 すると女の子はハッと我に返ったように急に焦りだす。 「な・・・何でも無いの」 「そう・・・?」 ・・・ところでこの子は一人なんだろうか。 少し周りを見てみるが親らしい人は見えない。 「・・・君一人?お母さんは?」 「え?あ・・・・・・」 ・・・さっきから会話が進まない。 人見知りなのかな?会話に間が空く。 少し返事を待ってみる。 女の子はなにやら返事を考えている。 やがて。 「・・・お、お仕事だよ。だから今・・・いないの」 この日曜日に、小学生だけを置いて両親が働くのか?
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