僕には見える

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そんなある日、明菜を家に招くことにした。 今日は早く解散したので、両親が仕事だという明菜だけを連れて家に帰ってきた。 「あら、お帰り。早いわね」 「うん、皆もう帰っちゃったから。でも友達連れてきた!」 庭のお花にお水をあげていたお母さんは、いつもより早く帰ってきた俺に気付く。 仲良くなった子を家に招くのは久々だ。俺も浮かれていた。 「そうなの?どこ?」 「ほら、ここ!明菜っていうんだ!」 今まで背中に隠れていた明菜を横に並ばせる。 お母さんは明菜を見て・・・何故か何故か首を傾げた。 俺はその仕草の意味がわからず、同じように明菜を見てみた。 明菜は・・・お母さんの表情を見て、悲しそうな顔をしていた。 「・・・真。明菜ちゃんって、名字は?」 「え?えっと・・・なんだっけ?」 会ったときから名前で呼んでいたためにド忘れをしてしまった。 明菜のほうを見て答えを求める。 ・・・しかし、明菜はお母さんを見たまま口を開いたり閉じたりしていた。 「・・・あ、思い出した。名字」 状況に頭が混乱したせいか、逆に明菜の名字を思い出した。
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