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夢はいつも儚く消え去り、
現実が心に突き刺さる。
痛みは取れるまでに時間が掛かり、
傷になって残る。
その跡は時とともに深くなり、
いつか夢を抱く神経を麻痺させるだろう。
鍵が掛かっていないのを確認して、
俺は部屋のドアを開けた。
「お帰り。
ライブどうだった?」
「普通。
っていうか、
いつもと一緒」
「ごめん、
行けなくて。
次は行くね」
ミカはそう言ってソファに座ったまま、
俺からテレビに視線を戻した。
「仕事なら仕方ないよ」
俺はシャワーを浴びようとミカの後方で服を脱ぎながら、
無意味な社交辞令を交わした。
テレビを見ているミカの背中はいつみても愛らしく思う。
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