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「ミカ」 「なに?」 「なんでもない」 そう言ってにやけていると、 ミカは頬を膨らませてふくれっ面をする。 テレビではカラフルな衣装を着たアイドルたちが、 ひらひらのスカートを揺らして歌っている。 なんでこいつらがテレビに出られて、 俺らが出られないんだ。 そんなことをちょっと前までいちいち思っていたが、 近ごろはそう思わないようになった。 とにかくこいつらはテレビに出て俺はそのテレビの前にいる。 その現実は変えることはできないからだ。 「ダイのバンドってさー、 みんなカッコイイから、 裸で歌えばいいんじゃない?」  明らかに冗談っぽかったので笑って同調して、 汗で湿ったボクサーブリーフを脱いで素っ裸でエアギターを持ってポーズをとった。
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