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「別れる。やっぱり遠恋なんてありえへんわ。」
送信。LINEの画面、すぐに既読の文字。
返事が届く前にiPhoneの電源をオフにした。
卒業式の前日。
待ち合わせの校門には行かない。
コータは、卒業式にも出ずに今日、東京に行く。夢を叶える為に。
半年前に東京に行く事を聞いたときは、「ずっと待ってるから、私は大丈夫やから。」って答えた。
でも、やっぱり私は待たないって決めた。
待ってるから、とか重いやろ?
好きすぎるから、待たない。
私は、映画のヒロインとかちゃうから大丈夫。
現実の世界は時間が経てば大丈夫。
コータはコータの夢だけ死ぬ気で追っかけたらええ。
涙が止まらへんのは今だけ。
………
無理やり涙を止めて、いつもとは違う裏の門から学校を出る。
!!!
いきなり後ろ手を掴まれ強く引かれる。
そのまま、ギュッと抱きしめられる。
「アホか。ちゃんとLINE読めよ。遠恋無理とか許さんから。俺はお前と別れるのが無理やから!……とりあえず読め。」
iPhoneの電源をオンにする。
LINEの画面。
あの後の返事。
「丁度、良かった。俺も遠恋無理やから結婚して下さい。」
文章の後に、膝まずいて指輪を差し出すニャンコ王子のスタンプが続いてる。
画面を覗いて固まる私を不安顔で覗きこむ
アホ王子。
別れるって言った相手に即プロポーズとか、
その手段がLINEとか、スタンプとか……
夢を追っかけるはずやのに結婚とか……
「もう、アホすぎて力が抜けるわ。」
痛くないであろう、ぐぅパンチでコータにツッコミを入れる。
「大丈夫。俺は、お前が嫁になる気になるまで、ずーーっと、待ってるから。」
笑顔。
前半の私が恥ずかしくなるやん。
「大丈夫。私も、ずーーっと待ってるから、特急で夢叶えてきて。」
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