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巨大なスライムの球を抜けた途端に、核を喪ったかのようにスライムが溶け始める。
「ハァハァ…これは、まずいね。まったく」
晴嵐の頭上から大粒のスライムが垂れている。
それは重力を受けて延びる速度を加速させる。
「まずい、非常に…君だけでも早く降りてくれ!」
「ま、まっ、待ってくれ…息が、息が切れて…」
疲れが見えている晴嵐に遅れをとる中年男。
とぷん
ババババババババババ
液体に何かが入ったような音とどこからか近づいてくるヘリの音。
その瞬間パキパキと音をたてて頭上のスライムが凍りつく。
氷の波は途切れることなく全てのマンションを飲み込むスライムを覆ってゆく。
[晴嵐!!]
轟音と共に汎用ヘリが晴嵐と中年男の近くでホバリングする。
「こっちだ晴嵐!来い!」
ヘリには局で休養中のはずの三人がいた。
「ハァ、ハァ、将軍か、僕は跳べるが彼は…」
「了解した!俺が下まで持っていく!」
晴嵐がヘリに飛び乗ると、入れ替わりに将軍が飛び出した。
将軍は中年男の丸々とした腹に背を当て両腕を肩に掛けさせる。
「いくぞ!」
晴嵐のコントロールを失った氷の階段は崩壊を始める。
また、巨大な氷塊に変化したスライムもまた、今度はその重さで自壊する。
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