#case.6 洪水

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「ロイロには会ったよ。それにクチナシは仲間だ」 「仲間?」 「言っただろう?僕はRAU対策局局員。クチナシも局員さ」 「リアルの話はしないでくれ。ただ…一度でもいいからあってみたいな」 「それはゲームでの話かい?」 「そうだ。そうに決まってるだろ」 男の汗は止まらない。スライムの生産も、止まらない。 「ここはなぜこんなに暑いんだい?」 「冷房が壊れたんだ」 「なら、涼しくすれば君の汗は止まるかい?」 「当たり前だろ」 「君の汗が今何になっているか自覚はあるかい?」 「なにかネバネバしてるんだろ」 「スライムになってるんだ」 「は?スライム?何を冗談を」 「君は昨夜、スマホの操作中に寝落ちたんじゃないかい?」 「そうさ。でもそれがなにか?」 「真実を話そう。君はRAUになった。そして今、君のアビリティの暴走がこの街を破壊している」 「は!?お、おれは何も知らない!!!」 「RAU対策法に基づき、君を拘束しなければならない! だが、もし君が自ら出頭したならば罪状は軽くなることもある」 「RAU!?RAUだって!?いやだ!収容所には行きたくない!!」 晴嵐の腕にしがみつく中年男、その体を伝って晴嵐にもスライムがまとわりついてくる。 「収容所に行くわけじゃないさ。それに来てくれたらクチナシと会えるように計らってもいい」 「…………」 「別にこのまま動かないという選択肢も無いことはない」 「あ、じゃあこのまま…」
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