第二章 対決

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 ソフトの問題なのだ。  創造性のないナンバーエイトは仲間を動かすソフトを独自に開発できず、メインソフトは創造主の博士が残したデータの丸写しにすぎない。もちろんバグがないかチェック済みだろうが、それが盲点だったのだ。  実はナンバーエイトに、他のアンドロイドが悪用されるのを恐れた博士はメイン電子頭脳ではなく、体の各関節部分に取り付けられたマイクロコンピューターのモーター制御のソフトにウイルスを仕掛けたのだ。  破壊もしくは殺人を命令されれば、メインコンピューターの電子頭脳にコンピューターウイルスが潜入し、すべてを初期化する。 そうやって相手の思考力を奪ったあと、《命令した対象》を滅ぼす命令だけが残るように細工していたのだ。《ただし滅ぼす相手はアンドロイドのみ、人間は除外される》  もちろんナンバーエイトにも取り付けられているが、あの殺人ドローンを使うときには、ナンバーエイトは過去の自分の《体》に「ドローンを稼働させろ」という命令しか与えていなかったし、博士を殺した時は頭を殴ろうとした時には奇跡が起きていた。偶然にも睡眠不足が祟って、博士は心不全を起こして、すでに亡くなっていたのだ。  つまり病死したあとで博士は攻撃されたことになる。
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