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ユキハside
まるでお城のような校舎のエトワール学園に到着したのが、今から二時間前。
私は今、試験を終えて、待合室で待機していた。
試験問題は案外簡単で、ハイセもリヒトもあまり心配はなさそうだ。
待合室は落ち着いた雰囲気で、窓から入ってきた光が、部屋の床に日だまりを作っている。
のどかだ。
「このまま寝ちゃいそうだね…」
「いや、止めろよ。一応、入学試験だからな。」
「あはは…うん、分かってるよ。」
だから、あんまり睨まないでー。
と、先程、先生に連れられて出ていったはずのルーフが帰ってきた。
そして、ニッコリと笑い、
「おめでとう!三人とも合格よ!」
「え、もう出たの!?」
早すぎないか?
「なんか、今日は祝日で、先生たちの手が空いてたみたいなの。で、物珍しさに任せて、あらゆる先生が手伝ってくれたみたい。」
「そ、それは…申し訳ないと言うべきか、何と言うべきか…。」
なんだか、手を煩わせてしまった気分に…。
「…は、早く終わったんだから、いいんじゃないですか…?」
おずおずとリヒトが声を出した。
「そう、だね。うん。先生方の厚意な訳だし、喜ぼう。と、いうことで、帰ったらごちそうにしよっか。」
ごちそう、と聞いた途端にリヒトの目が輝き、後ろのハイセがこちらを見た。
「ぼ、僕…カレーが良いです!」
「俺はハンバーグ。」
「分かった。腕によりをかけるね!」
リヒトと私は笑い、いつもはクールなハイセも、笑った。
(…ここは天国なのかしら?)
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