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すぴすぴと間抜けな寝息を漏らす神谷を、じっと見つめた。
じりじりと強い日差しが襲い来る夏が過ぎ去り、漸く朝晩はいくらか過ごしやすくなっているこの時期。
その中でも、俺の部屋のエアコンはフル稼働だ。
「さみっ」
異常なほど暑がりな神谷は俺の部屋に押し掛けるなり、エアコンを強にしてしまう。
寒い、暑いと互いに言い合いをしてリモコンを取り合って、いつの間にか唇を寄せて。色気もくそもない流れでもつれ合うのが、夏の終わりの日常と化していた。
神谷が寝ている隙にとリモコンを弄り、温度を上げる。
それでも一度寝入っていた身体にはこの冷気はきつい。
起きる気配のない神谷の身体を抱き寄せ、タオルケットにくるまった。
長いまつ毛に、小さな唇。ほんのりと赤い頬がなんとなく“その時”の神谷を思わせる。
黙っていれば、女ともとれる可愛い系男子。
だけどいつだって誰かに必要とされようと無理に男前な兄貴キャラを演じているのだと気付いたのは、いったいいつだったろうか。
その薄い腹にいろんな感情を押し込め、笑顔の下でいつも悲痛な叫びをあげているこいつに気付いたのは。
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