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「……」
衣擦れの音が隣から響き、俺は視線だけで確認をした。
「20連勝」
いえい、と超笑顔でピースを繰り出されたから、頭から布団をかぶった。
また負けた。悔しい。
あと今日も安定のえろさだった。素晴らしかった。
けらけらと笑いながら神谷は着替えを始めている。もう、さっきまで醸し出ていた色気は一切ない。こいつの切り替えどうなってるんだろう。
認めたくはないけど、やっぱり経験の差っていうのはこういう事でも出るのかもしれない。
女と寝た事なら、何度もある。だけど、男相手っていうのはこいつが初めてで。
でも、こいつは違う。
男との経験しかない。だからこそ、どこが弱いか、どこを弄ればイクのか知ってる。
いやそら同じ男だから俺も弱いとことかわかってるつもりだけど。でも経験に勝るもんはないってどっかの偉い人が言ってた気がするし。
あ、なんかムカついてきた。
「佐野ー? 俺もう行くぞ?」
「はっどこに?」
もぞりと布団から顔を出せば、陽の光に照らされた神谷の猫毛がふわふわきらきら透き通ってて。
こいつ本当にさっきのどすけべモードと同じ人間なのかと疑ってしまいたくなった。すでに可愛い顔の兄貴系キャラ神谷になってしまっている。
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