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じっと見つめる俺のデコをべしりと引っ叩き、神谷は小さく息を漏らした。
「今日からバイト入れたっつったろ」
「ああ……」
そういえば言っていた。
勢いよく布団をはぎ取り、ベッドから降りるとすでに準備を整えた神谷を見下ろす。
「飯食ってけ」とだけ、伝えて。
こいつ、放っといたらまともな食事を取りやしない。ちゃんと食わせないと。これ以上痩せさせてたまるか。
ただでさえ小さくて骨っぽいというのに。抱き心地が悪くなる。それだけは阻止せねばならない。
「ちょ、ちょちょちょ、パンツくらい穿けよばか!」
「大サービス」
やかましいわ、って頭を叩きながらパンツを投げつけられたからおとなしく穿いて台所へ向かう。
こんななんでもない日常を送れていることに安堵と喜びを感じてる自分だいぶやばいと思いながら、少し遅めの朝食を頬張る神谷を見つめた。
小さい口でもりもり食ってるせいでハムスターみたいになってて可愛い、とか思いながら。緩みそうになる頬を内側から噛み、耐えた。
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