第1章

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 「ずっと待ってる」  ツイキャス動画に映る女子高生はふいに此方を見てそう言った。今時純粋な恋愛もののツイキャスをしている子がいるなんて珍しいな。そう思いながら僕は画面に釘付けになる。  「ずっと、待ってるんだから、パパ……」  名前も知らない彼女は瞳を潤ませた。パパってこの子の父親に言っているのかな。  「修一パパ。早くして…」  一瞬、どきりとした。どうしてこの子は僕の名前を知っているんだろう。いやいや同姓同名の人物かも知れない。僕はこの子に面識はないんだし。  「早くしないとママ、他の男にとられちゃうよ」  ママって…。僕はまだ結婚はしてないんだけど。  「でないと、私は生まれて来なくなっちゃうから。卒業式、明日でしょ? ママにアタックして…お願い」  この子は僕の学校の卒業式の日付けまで知っていた。先程から可笑しいことばかりだ。画面の隅の方に名前と撮影した日付が表示されている。  2035/02/12/三行紗耶香  2035年からツイキャスを放送していたのか? 厭々これはエブリスタの三行イベじゃないんだからそんなラノベチックな事があるわけないんだ。 でももしも、彼女が未来で生まれて来る僕の子供で、明日僕が彩香さんに告白しないと未来が変わってしまうと言う事なのか。未来から僕を励ましてくれていたのか。 明日、勇気を出して彩香さんに告白してみよう。
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