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昼休みの時間は限られている。
「なんでこっちなんですか」
こっちとは言わずもがな、この第二図書室の事だ。先輩はどうもここを気に入っているらしく、よく僕を呼びつけるのだ。図書室のカウンターにメモを預けるのも恒例で、それも僕らがセットとして認識されているがためにスムーズにまかり通る。
コーンマヨパンの半分を食べた先輩は温かいお茶を一口飲み、口を開いた。
「君とお話がしたかったから、よ?」
「話なら別の所でもできるでしょう」
お茶をすする。思ったより熱かった液体は、甘い香りの紅茶のようだ。なんの香りだろう。
先輩の目がいっそう、あまく細められる。
「誰もいない、二人きりでお話がしたかったのよ。ここの他に二人になれる場所はあるかしら?」
探せばあるだろう。しかし目の前にいるこの先輩は、学校中で一目おかれる美人なのだ。何時何処にいても注目の的。そんな先輩とこんな僕が一緒にいれば、さらに注目を集める。なんせあの伝言ゲームは今になっても有効なのだ。
「……あら、やだ。こんな所で襲ったりしないでね」
「するかっ! だいたい襲ってきたのはそっちじゃ……ってまたかっ」
指が勝手に!
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