いつか会えるその日まで。

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第二図書室の中に、本棚は少ない。 ほとんどの本が適当な段ボールに詰められ、入りきらないものは床に直置き。 それらの本の塚を先輩は暗がりの中、すいすいと避けて歩く。僕はただひたすら先輩の背中を辿るだけだった。 「ねぇ、君は、本が好きかしら」 「それほどでも、ありません」 ヒラヒラ揺れるスカート。 「じゃあ、恋愛に興味があるかしら」 「それほどでも、ありません」 細い足首。 「私の事は、好きかしら」 「それほどでも、ありません」 細い、腰。 「生きている事は素晴らしいかしら」 「それほどでも、ありません」 華奢な肩。 「死ぬ事に興味はあるかしら」 「それほどでも、ありません」 流れる黒髪。 「殺す事に興味がある」 「振り向いたら、やります」 小さな頭。 白い頬。 優しい瞳。 小さな……唇。 「……彼女を殺したのは、あなたよね」 「そんな事も、ありました」 先輩はゆっくりと振り返り、僕を見つめて微笑んだ。 「振り向いたら、やりますと言ったはずです」 「まだ早いわ」 先輩はわざと靴音を鳴らして先へ進んだ。
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