プロローグ

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「キシャー!」 ダンジョンの1層の片隅でゴブリンの怒り声が響いた ゴブリンは凶悪な顔に苛立ちを表しながら顔と一致しない小学生のような背丈で目の前の冒険者を攻撃していた 攻撃されているのは、なんともダンジョンに馴染めない見た目の冒険者だった 碧眼の瞳に同じ色をした青い髪は寝ぐせが立てたままほったらかし 顔はとても好青年と言った感じなのだがひどいのは確実に服なのだ 普通の冒険者なら鎧やら、盾やら色々防具を身につけるのが当たり前である しかしこの青年はなんと上下黒に青い縦線が入っているただのジャージだった まるでちょっと起きたついでに、散歩でも行くような格好であった この青年が普通の冒険者なら自殺願望者やら前代未聞の大馬鹿者と言われるだろう そう、普通の冒険者なら... だがこの青年はそこらの普通の冒険者とは違った 青年の名前はリルク、ギルド認定の最強冒険者なのだから 現在ダンジョンの確認されている最新層は87層となっている そして、この最新層の記録がリルクである 屈強なトップレベルの冒険者だけが集まっている最強ギルド「ラグナータ」でさえ攻略した層は83層であるにもかかわらず ちなみにこの青年はギルドには入っている しかし、そのギルドメンバーの人数は1人 ギルドの名前を「孤独なブルータイガー」という 名前は自らつけたと噂されているが本人に聞く者がいないので真相は謎である 噂の本人は暇そうにゴブリンの攻撃を避け続ける 「ふぁ~…そろそろ飽きた」 そう言うと攻撃中のゴブリンの右腕を掴み 「よいしょ!」 思いっきり投げた それはもう20m先に ゴブリンは勝てない相手と分かったのかダンジョンの奥に姿を消した
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