第1章

8/8
前へ
/8ページ
次へ
「私もな、ここが地元なのだよ」 「へぇ、小鳥遊さん近所だったんですか?」 「ああ、子供の頃は、よくこの公園で遊んだもんだ。小鳥のようにな」 「あぁ、そうなんすね。んじゃ寂しくないっすか?公園が変わるの」 「そうだな。しかもこの木は、この公園のシンボルみたいなものだったから、倒れたこの木を見ているとたまらないよ」 「だから最後にまわしたんですね」 「この公園で遊ぶ子供のルールだったんだ。ここで遊ぶときは、必ずこの木に声をかけて遊ぶことってね。いつの頃からなのか、我々の先輩からも代々受け継がれていたルールだったんだ」 「へえ、そんなのあったんですねぇ」 「この木だけでも残してくれって声もあったんだけど、聞き入れて貰えなかったのだ」 「なんか気分が落ちますねぇ」 「ホントに思ってるか?まあ、なんだな」 小鳥遊はしゃがんで、斬り倒された大木を撫でた。 「いつもこの公園に来ると、帰ってきた!って気分になるんだ。きっとコイツが待ってて、出迎えてくれてたように思うんだ。だから」 お疲れさま。 ずっと待っててくれてありがとう。
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加