第1章

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着々とわたしのまわりは掘り返されていく。 わたしと同じモノ達も、一つ、また一つと、その体を横倒していく。 どうやらわたしが最後のようだ。 これまで、いろんなモノがやって来た。 わたしを蹴りまくっていたやつ。 わたしの枝を折って振り回していたやつ。 わたしの体を傷付け、なにか書いていたやつ。 わたしの体に顔をつけ、数を数えて追いかけっこをしていたモノは数限りない。 掘り返しが始まる前、そんなやつらがいっぱいやって来て、ワイワイ騒いでいった。 わたしが、いつも待っていたモノ達。 わたしは、どうやらもう待つことが、できなくなりそうだ。 わたしの枝は切り落とされ、足元が掘り返される。 何度も色が変わった同じ景色が、ゆっくりと斜めになっていき、今まで見たこともない横向きの景色が、最後だった。
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