0人が本棚に入れています
本棚に追加
“この間はありがとう!若いのに頑張ってるパンドラちゃんをナツコは応援してるよ!寂しくなったらいつでもナツコに会いに来て!パンドラちゃんにはお姉さんがついてるよ!”
渡されたハガキにはナツコさんの綺麗な字で書かれていた。
そして、店の名前が最後に書かれていた。
今だったらホステスさんの営業って思えるんだけれど、女に免疫のないウブな16才にとっては天にも昇るほどの嬉しさだった。
Kさんに怒られる怖さとナツコさんから励まされた嬉しさと相反する感情がない交ぜになり訳がわからなくなった。
現実に戻った私は、恐る恐るKさんを見た。
「ほどほどにしとけよ!」
Kさんは微笑んでいた。
私はホッとして、ナツコさんからの文章を改めて読み、嬉しさに浸った。
後で聞いたら、あの日、ひどく酔っ払っていた私は、ナツコさんに寂しいと愚痴っていたそうだ。
そして、住所も何故か教えていたらしい。
あんなにつまらない、苦しいと思ってた日々も、ナツコさんのお陰で、その日から薔薇色に変わった。
私は家賃、食費、光熱費などはかからなかったので、給料がまるまる使えていた。
とはいっても、ナツコさんの店は安くはなかったので、気軽には行けなかった。
5回目くらいに店に行った時。
その日は店も混んでいて、1人で行っていた私はボックス席ではなく、カウンターに座っていた。
ナツコさんも忙しく動き回っていて、私の相手ばかりもしてられなかった。
タバコを吸いながら1人で飲んでいた。
「ただいま!」
客も帰っていき、ナツコさんが私の元に帰ってきた。
「オレも帰るわ。」
嬉しかったんだけれど、素直じゃなかった私は吸っていたタバコを自分の手の甲に押し付けて消した。
今思い出しても、恥ずかしくなる。
「バカっ!何してるの!」
ナツコさんはオシボリで私の手の甲を押さえて、アイスペールの氷を取りだし冷やしてくれた。
23時30分。
ナツコさんの店は24時までだった。
少し落ち着き飲んでいた私に、ナツコさんが2つ折りにした1枚の紙を手渡してきた。
最初のコメントを投稿しよう!