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「すぐまた会えるよとあなたはそう囁いたのに 一人待つ窓辺の帳を今夜も風だけが通り過ぎるの」
壁の向こうで、白瑞姐さんのか細い声に合わせて鳴っていた琵琶がつと止んだ。
「声が小さい」
琵琶を受け持つ碧琳姐さんの刺すような声が飛んだ。
八歳の翠玉は褪せかけた若草色の服の肩をびくりと震わせて、箒を握り締める。
自分に向けられたのではないと分かっていてもなお、その声音にはゾッとするような響きがあったのだ。
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