第1章

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 約束の時間を2時間も過ぎていた。ちょっとのつもりで友達と飲みに行って時計を見ないまま過ごした俺が悪い。待ち合わせ場所で拗ねたような顔をして座り込んでいる彼女と目が合った途端、俺は本気の土下座をした。 「もうしません!」 「……」 「二度としません神様に誓いますご免なさい!」 「……去年も同じこと言った」 「そ、そうだっけ」 「言ったよ。因みに去年は1時間の遅刻だった。その時も飲みに行ってた」 「う……」 「寒かった」 「ご、ごめん」 「死ぬかと思った」 「す、すみません」  彼女は立ち上がると俺の前まで来て、俺の顔を覗き込むようにして、またしゃがんだ。 「罰として、一週間は私の言うこと聞いてもらう」 「わ、分かった」 「まず初めに。貰って下さい」 「お、おう」  瞼を閉じた彼女の手からチョコを受け取った。途端に彼女はむくれた。 「チョコじゃないもん」 「え?」 「何でもない。バカ」
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