悪友

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三角関係のもつれというか...。」 その刑事は見かけは武骨そうだがデリカシーのかけらはあるようで、ずいぶん遠回しな言い方で俺に気を使った。  それにしても信二のやつ俺と悦子さんの仲を知っていたのか。悦子さんが返り討ちにあったのも警戒していたからかもしれない。 「それで信二はどこまでのことを自白したのでしょうか。」 「それが、かなり取り乱していて要領を得ないのですよ。不倫の末に殺して山に埋めたとか言って...。実を言うと山本さん火事のあとホームレスのような生活をしてまして、火事のショックと合わせて精神的におかしくなってしまって医者にも診てもらったのですが、正常に戻るか保証できないといわれまして...。」 「それじゃあ信二の妄想で無実かもしれないじゃないですか。」 「それがですね、山本さんこれで殺したと包丁を持って来たんですよ、血がべっとりつていて調べると確かに人間の血らしいのです。」  私は心の中でしめたと思った。経過はどうであれ悦子さんを殺したのは信二で間違いないし、私の罪は死体遺棄と悦子に殺人を共謀したくらいだ。死体遺棄は信二に擦り付けられるかもしれないし、殺人計画は悦子さんと2人の秘密で証拠も何もない。逃げ切れるかも知れない。 「信二さんは人を殺めるような性格でしたか。」 「根はいいやつなんですが、思い込みが激しいというか、ちょっと怖い所は正直言ってありました。」 「やはり。」 「でもこうなってしまったからには真実はどうなのか、信二にしゃべれるようになって欲しいですね。そうしないと殺された悦子さんも浮かばれないでしょう。」な 「悦子さん?」 2人の刑事は怪訝な顔をした。 「何を言っているんですか、あなたは。我々が言っているのは仁木洋子さんのことですよ。」 俺は一瞬何を言っているのかわからなかった。 「彼、山本信二さんが告白したのは仁木洋子さん、あなたの奥さんの殺害です。もう5年前のことだそうですが、不倫を続けていたが洋子さんはやめたい、関係を清算したいと言ってきた。それに逆上して包丁で刺し山に埋めたと言っているのですよ。」  俺は汗が止まらなくなった。2人の刑事は顔を見合わせお互いうなずきあった。 「悦子さんというのは山本悦子さん。山本さんの奥さんのことですよね。丁度良かった、彼女からも話を聞きたかったのですが連絡がとれないので困っていたんです。」
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