第1章

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「なんでいるの」 「なんでって言われても…バイト帰り?」 「バイトって禁止…」 ピースサインをすると、マリちゃんは困った顔で俺を見た。 「マリちゃんこそなんで?」 隣に座り込むと、マリちゃんがびくりと肩を震わせた。 「いちゃいけない?」 「いやいいけど」 途端にしん、となって俺らはぼんやりと夜景を眺めた。 「帰る」 マリちゃんがマフラーを巻き直し始めた。 「途中まで送るよ」 「別にいらな…」 マリちゃんは頭を横に振った後うつむいてしまった。 「マリちゃん?」 「…あげる」 押しつけてくるそれは、可愛らしい赤いリボンが巻かれていた。 「もしかしてマリちゃん、俺のために」 「違うから、待ってたとかじゃない!」 本音がだだもれですよ、マリさん。 違う!と連呼するマリさんの手を引いて、温もったピンクの包みを持って、幸せだなあなんて思いながら階段を下りた。
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