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「なんでいるの」
「なんでって言われても…バイト帰り?」
「バイトって禁止…」
ピースサインをすると、マリちゃんは困った顔で俺を見た。
「マリちゃんこそなんで?」
隣に座り込むと、マリちゃんがびくりと肩を震わせた。
「いちゃいけない?」
「いやいいけど」
途端にしん、となって俺らはぼんやりと夜景を眺めた。
「帰る」
マリちゃんがマフラーを巻き直し始めた。
「途中まで送るよ」
「別にいらな…」
マリちゃんは頭を横に振った後うつむいてしまった。
「マリちゃん?」
「…あげる」
押しつけてくるそれは、可愛らしい赤いリボンが巻かれていた。
「もしかしてマリちゃん、俺のために」
「違うから、待ってたとかじゃない!」
本音がだだもれですよ、マリさん。
違う!と連呼するマリさんの手を引いて、温もったピンクの包みを持って、幸せだなあなんて思いながら階段を下りた。
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