過酷な仕事

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俺にはそれは、分からない。 ナワバリボスは、大きく後ろへ移動し、俺達から距離をとった。 そこで、前から別の魔物が襲ってくる。 今の俺と同じくらいにデカイ蜘蛛。 末端が鎌のようになった八本の脚を素早く動かして詰め寄ってくるが、俺の後ろから躍り出た動く死体が、そこへ割って入った。 ゾンビと呼ばれるそいつは、蜘蛛の頭を両手で抑え込み、そのままかじりつく。 蜘蛛は少しだけ怯んだ様子を見せたが、空かさずゾンビを押し倒し、覆い被さるようにしながらその八本の脚を次々と動かした。 ザクザクザクッと、穴だらけにされていくゾンビの体。だけどゾンビは、そんな事はお構い無しと言わんばかりに、抱えた頭へ歯を突き立てる。 そんな命の取り合いが、辺り一帯で繰り広げられている。 逃げだす隙をと考えるけど、俺を見ている魔物が多すぎる。 ボスである俺を狙ってくる魔物を、グール達の手を借りながら、どうにかやり過ごしていく。 自分を守るのも精一杯だけど、正体がバレるのも時間の問題かもしれない。 俺の能力では、このボスの、力が強くて、頑丈で、死ににくい体まで真似る事はできない。 俺が他の魔物と戦っている間、敵のナワバリボスは攻撃を仕掛けてこなかった。 体を休めているのかと思ったけど、どうやら違うらしい。
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