最期に見たのは泣きたくなるほどの青だった。

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「夛弼弖ェエエエィ彙滯譽悪悪悪悪悪悪悪悪悪悪悪悪悪ォァ阿亞ア堊堊痾アアアァ頤頤頤頤藺頤頤頤犂莫邇娜獵簸臾ゥ憂憂憂憂憂憂ウゥウアアアアア」 耳が壊れるんじゃないかってぐらいの悲鳴に、思わず椿は顔をしかめた。廃校となった校舎の窓ガラスが鈍い音を立ててはこぎざみに揺れた。 長い廊下の先に見えるのは、ドロドロとした黒い塊。明かりが月の光しか無いため、暗くてよく見えないが。体はベチョベチョとまるでヘドロのように落ちてはまた本体にくっついているようで、蠢く体の輪郭ははっきりとはしない。ギョロギョロと動く無数の目だけは暗闇のなかでもはっきりと見えた。 まるで負の感情をそのまま形にしたようなモノは、音を立てながら廊下の奥側へ消えていこうとしていた。 椿も後を追って長い廊下を駆けた。 “負の感情をそのまま形にしたようなモノ”とはいったが、アレはその言葉の通りのモノなのだ。 人の悪意や妬み、怒りや殺意などの負の感情が実体化したモノを、椿達は“悪鬼”と呼んでいる。悪鬼は悪魔や霊とは似てはいるが、その存在とは異なる。故に悪鬼を倒す方法も限られていて、その方法は大きく分けて3つ。一つは同じ悪鬼による攻撃。悪鬼がより力をつけようと、自分よりも弱い悪鬼を捕食して同化する場合もある。
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