最期に見たのは泣きたくなるほどの青だった。

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屋上へと続く階段を登る悪鬼の後ろ姿をとらえた。ドロドロとした悪鬼の体からどぷりと音を立て、大きな目玉が出てきた。ギョロギョロと辺りを見渡したかと思えば、その大きな目玉は椿の姿を見つける。その目玉に続くようにポコポコと小さな目玉も出てきては、椿を見つめる。 小さく息を吐き、右足で地面を踏みつけた。 「呶?滯ァ・・・?」 影が触手のように伸び上がり、悪鬼の体を締めあげた。 二つめの方法は“陰陽術”。属性は七つあり、今使ったのは闇属性になる。 悪鬼はそのまま動かなくなったかと思えば、ずるんっと触手の間から抜け出し前へと進む。動きを止めたのは一瞬だけだったが、それだけで十分だ。 その僅かな時間で階段を登りきると、腰にさしている“鬼殺”を抜いた。その勢いで、逃げ出そうとしていた悪鬼を切りつける。 「壇醫ィイゐ懿蝟餘ォ飫ォオオオオ」 胴体が横に半分に別れてもなお、意味のなさない獣のような呻き声をあげ屋上へと進む悪鬼に刀を振りかざす。 「屍貳謫汝ィ懿圍・・・」 バラバラになった悪鬼の体が消えていくのを確認してから鬼殺を鞘へと戻す。深く息を吐く。
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