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それにこれって、相談というより、ただの惚気じゃ?そんな話に付き合ってやれるほど、俺は暇じゃないのだが。
……だいたい、俺にこうして相談をしている時間があるのなら、不安がっている彼女に愛してるとでも囁いてやればいいのに。
コーヒーをまた、ゆっくりと口に含む。爆発してしまえ、とそんな毒を吐いているこの心のままじゃ、コイツに何を言ってしまうか分からない。そう思って無理矢理作った笑顔に、顔がひきつりそうだ。
「聞いてくるだけマシじゃねえの?」
「え?」
「相手がさ、それだけ自分のことを好きでいてくれてるって証拠じゃん。てか、お前も聞き返したら?“ねぇ、俺のこと好き?”って、“俺のこの愛、伝わってる?”って。そうしたら相手も、お前の気持ちが分かっていちいち聞いてくるの、やめるんじゃ?」
あぁ本当にバカらしいし、心底どうでもいいと、笑顔の裏で毒攻撃を続ける。
他人の恋愛事情になんか、全然興味はない。そうやって適当に返事を返すも、バカな友人はありがとうとキラキラおめめで見つめ返してくる。
「俺、聞いてみるよ!」
「そ、」
その目を見ていると、完全に目的変わったと分かった。何が疲れるだよ。バカめ。
きっと今コイツの頭の中は、彼女がどんな可愛い反応をしてくれるか、でいっぱいだ。
俺は友人を置いてさっさと店を出ると、自宅へと向かった。
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