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「ただいまー」
「ん、」
家に帰り着き、玄関で靴を脱ぎながら叫べば、相変わらずの薄い反応。俺の恋人は、いつもこんな感じだ。たまには優しくお帰りくらい言ってみろってんだ。ちくしょう。
「なぁ、飯は?」
「は?」
「俺、今日遅くなるって言ってたじゃん。たまにはお前も家事やれよ」
「はぁ?そんなのお前がやれよ。俺は今マイちゃんのおっぱいとお尻で癒され中。忙しいからやらねぇよ」
「……最悪だな」
仕事はお互い様だけれど、こうして疲れて帰って来た俺の顔を見ることもなく、お前はエロ本を見たまま答えるのか。
俺は、彼の背中を思いっきり睨んだ。殴ってやろうかと、ソファーに置いてあるクッションを手に取る。けど、殴ったところで何も変わらないと諦めた。
はぁ……。元からこういう奴だったけれど、最近はさらに態度が冷たい気がする。 やらないだけで、コイツも家事は一通りできるし、別々に暮らしたって何の問題もない。それでも一緒に住んでいるのだから、俺への気持ちはあるのだろうけれど。
それでも、だ。
「このおっぱいに顔を埋めたい……!いいなぁ、おっぱい!」
この発言には腹が立つ。友人のくだらない話が可愛く思える程だ。コイツのこういうところだけは本当に許せない。その口を今すぐ縫ってやろうかと、食い縛った歯がギリリと鳴る。
だいたい、エロ本ってそんなに大切?そもそも、まだ必要?
マイちゃん、マイちゃんってうるさい。
てか、コイツって。本当に俺のこと好きなのかな……?
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