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あーあ、やってしまった。
自分の問いに言葉を失う。バカにしていたアイツの彼女と同じじゃあないか。
だけど、意外と自然に出ちゃう疑問なんだなぁ……。
ちょっと反省。バカにしてごめんね。
俺は、ソファーに寝転がっている彼にまたがって、背中に抱きついた。
「ねぇ、」
「あ……?重いんだけど。邪魔すんなクソが」
「俺のこと好き?」
「はぁ?」
聞いてみたら、なんだか悲しくなってきた。
よく分からないけれど、胸が痛い。だって、あのバカならきっと、好きに決まってんだろマイスウィートハニーちゃん、くらい言ってのけるに決まっている。それなのにコイツは、そんなことは絶対言ってくれない。何言ってるんだ?バカじゃあないのかって、俺がアイツの相談を呆れながら聞いていたみたいな態度で。
……うわ、どうしちゃったの俺。
じわり、と目頭が熱くなる。
ねぇマジでどうしちゃったんだよ。
「あ……、」
気が付けば彼のスウェットに染みを作っていた。いくつもいくつも。
『“ねぇ、私のこと好き?”って最近よく聞いてくるんだよ。“どのくらい好き?”って、暇さえあればそればっかり。なぁ、俺のこの愛……、伝わってないのかな?』
……お前は、そんなふうに悩んだりしたことあった?
いやまぁそんな質問をしたことはなかったけどさ。俺のことで、悩んだりすることってあった?
「……俺のこと、好き?」
久しぶりに触れた彼の体温を感じながら、小さく呟く。
すると彼は「はぁ、」とため息をつき、それにまた胸が締め付けられた時、バサッとエロ本が床に落ちる音がした。
「お前何なの。急にどうしたんだよ」
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