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……何だ、それ。
彼の言葉に呼吸が止まった。この状況でそんなことを言うのか?世界で二番目?俺、マイちゃん以下だってこと?さっき俺の方を選んでくれたみたいで嬉しいと、そう都合良く考えてしまっていただけに、一気に落とされた。
開いた口がふさがらない。言葉も出ない。
ぼろぼろと涙が溢れ出てくる。こんなに泣くほど自分は彼のことを好きだったのかと、今この状況では分かりたくもなかったことを自覚する。「世界で二番目?おいおい、一番が俺じゃあないって、それはひどいだろ」って、冗談めかして笑う余裕は全くない。止められない涙が頬を濡らしていく。
それなのに彼は、泣いている俺を見て笑いだした。
「こんなに大好きなお前に好かれてる俺が一番に決まってるだろ。世界で一番愛してるのは、お前に愛されてる俺自身だよ」
「…………はぁ?」
止まらないと思っていた涙が、驚くほど一気に引いた。涙だけじゃあない、俺自身も引いてしまった。……え?何?頭がおかしくなったのか?いくら俺が泣いていたからって、この慰め方は間違っているだろ。それとも、本気で言ったのか?
「バカじゃん……」
でも、マイちゃんじゃなくて良かったと、一瞬は俺もそんなことを考えてしまったから。同じように頭がおかしくなったのかも。
なんだか色々と予想外すぎて笑いがこぼれた。泣いたり笑ったり、今日は珍しく忙しい。
「ふふっ、」
「おい」
「……なに」
「お前は?」
「は?」
「俺のこと好き?」
「……え、」
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