可愛い君

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「ここに載ってるカップルたちは、地球が滅ぶ最後の1秒まで愛する人と一緒にいたい、とか何とか答えてるんですけどね……!」 「へぇ、キモいな」 目をキラキラさせながらそんなことを言う横沢にそう返せば、「何で!」と興奮したように叫び、またその紙を握りしめる。あーあ、くしゃくしゃを超えてぐしゃぐしゃになってんぞ、それ。 そこまで強く握る程に何を必死になってるんだか……と考えたところで、横沢がどうしてこれを持ってきたのか分かった。途端に俺の口元が緩む。コイツ、バカすぎるだろ。 「何でって言われても、キモいじゃんとしか言えねぇよ。つか、何なのそれ。街頭インタビュー?」 「うん」 「……で?それ持って来たのは、お前もそんなキモい言葉を俺に言ってほしかったから?」 「うん」 照れたのか、横沢の頬が赤くなった。さっきまで握っていたその紙を今度は広げ、どうしようもないだろうにシワを伸ばし始める。 あぁコイツ、俺に「地球が滅ぶ最後の最後まで、お前と一緒に過ごしたい」と、そう言ってもらえることを期待してるな? だけど、残念。俺はお前が思うほど優しくはない。 「哀れだなお前、言うわけないだろ」 「……ひどい!俺ら恋人じゃん!」 「そうだったの?」 「と、戸田!」 半泣きになりながら、横沢が俺の肩を掴んだ。そのまま前後に、がんがん揺らされる。ちょっと待って激しすぎ。頭痛いし、脳ミソなんかやばい感じ。
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