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この世には、人ならざる"妖(あやかし)"が居る。
害あるモノもあれば、益となるモノもある。見えぬモノも、見えるモノも居る。
妖と人は、なるべく関係を持たないように暮らしていた。
勿論、例外は双方にいる。武勲を立てようと躍起な人や、人無しに存在できない妖たちだ。
さて、人無しに存在できない妖ーー人を喰うモノや、人の暮らしに溶け込むモノーーの中に、"守宮(しゅきゅう)"という妖が居る。またの名を"家守(やもり)"というのだが、人と共にいなければ存在できないという、なんとも哀れなモノである。
何処にいるかと言えば、読んで字の如く、人の家に居る。しかし、どんな家にでも居るわけではない。
何代にもわたって受け継がれ、大切にされてきた家に、いつの間にか居る。そうして、その家の者たちの血が途切れるまで、家と一族を守り続ける妖である。
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